事例概要
海外拠点から日本への輸送において、長年にわたって木製パレットの処理費用と積載効率の低下にお悩みだった製造業のお客様の事例です。
40年以上の経験を活かした当社の提案により、革新的なソリューションで課題を解決することができました。
お客様が抱えていらっしゃった課題
このお客様は、長年にわたって海外拠点から日本への製品輸送において、木製パレットに関する様々な問題に直面されていました。
特に近年では、環境規制の厳格化や処理費用の高騰により、これらの課題がより深刻化していました。
⚠️ 深刻化する3つの課題
積載効率の低下による輸送コスト増加
木製パレットの厚み(約150mm)により、コンテナ内の有効活用スペースが大幅に減少。同じ貨物量を運ぶのに、従来よりも多くのコンテナが必要となり、輸送費が嵩んでいました。年間の輸送コスト増加は、経営に大きな影響を与えるレベルに達していました。
発荷地でのダブルコスト負担
海外拠点では、木製パレットの調達費用に加え、植物検疫のための熱処理費用が必要でした。さらに、処理済みパレットの保管場所確保や管理工数も大きな負担となっていました。これらのコストは年々上昇傾向にあり、収益を圧迫していました。
着荷地での処理費用と環境負荷
日本到着後の木製パレット処理が大きな問題でした。産業廃棄物としての処理費用は年々高騰し、処理業者の手配も煩雑。また、環境問題への意識の高まりから、持続可能な輸送方法への転換が急務となっていました。
課題解決への取り組みプロセス
当社では、お客様の課題を根本的に解決するため、段階的なアプローチで取り組みました。
単なる資材の置き換えではなく、お客様の業務フロー全体を見直し、最適なソリューションを見つけ出すことを重視しました。
ご提案したソリューション
✅ ワンウェイ用紙製パスボーダー
従来の木製パレットに代わる、革新的な薄型パレットソリューション「パスボーダー」をご提案いたしました。
パスボーダーは厚さわずか30mmの紙製パレットで、従来の木製パレット(約150mm)と比較して約5分の1の薄さを実現。
お客様の商品特性に合わせて最適化された仕様で、輸送効率と作業性の両立を図りました。
また、使い捨て(ワンウェイ)仕様のため、返送や保管の必要がなく、着荷地では再生紙業者による回収が可能な環境配慮型ソリューションです。
期待される効果と実現内容
パスボーダー導入により、以下の効果が期待され、実際に確認されました。
定量的な効果測定により、お客様にご納得いただける改善を実現できました。
💡 なぜこのお客様で成功できたのか
すべてのお客様で同様の結果が得られるわけではありません。この事例が成功した背景には、以下の重要な要因がありました。
商品特性に恵まれた効率的なユニット化
お客様の段ボール梱包製品は、もともと規格が統一されており、効率的なユニット化(パレット上への積み付け)ができていました。
これにより、パスボーダーの薄型化メリットを最大限に活用することができました。不規則な形状や多品種の商品では、同様の効果は期待できません。
効果の数値化による客観的判断
当社では、推測や感覚ではなく、実際のコンテナ積載テストにより効果を数値で明確化しました。
積載効率の改善度合い、コスト削減額、作業時間短縮など、すべてを定量的に測定し、お客様に納得していただける根拠を提供できました。
設備投資の合理性確保
パスボーダーを効率的に扱うためには、専用のローラーフォーク(ローラーコンベア内蔵フォーク)の導入が必要でした。
しかし、削減できるコストにより、この設備投資の償却が十分に可能であることを、事前にお客様と一緒に検証いたしました。
同時期に検討した他のお客様の事例
当社では、同時期に複数のお客様からご相談をいただいておりました。しかし、すべてのお客様で同様の成功を収められたわけではありません。
成功事例と対比することで、パスボーダーが効果的に機能する条件をより明確にお伝えできます。
🔄 顧客B様:多品種小ロット品を海外から日本へコンテナ輸送
検討結果:検討継続
理由:効率的なユニット化ができないため、パスボーダーでも積載効率の低下が免れませんでした。
梱包サイズの変更で積載効率低下を防げないか検討することになりました。
この事例から学んだ教訓:効率的にユニット化できるかが最重要であり、効率的なユニット化ができた上で、
パレットの厚みによる積載効率低下が明確な場合は、パスボーダーが有効と考えられます。
お客様の状況に応じたオプションのご提案
お客様の商品特性や輸送量により、さらに適切なソリューションをご提案できる場合があります。
特に、重量500kg/パレット以下の比較的軽量な貨物を扱われているお客様には、以下のような選択肢もございます。
EZパスボーダー
厚さ:35mm(標準パスボーダーより5mm厚)
パレット下面に15mmの空間を設けた構造により、2m高さのユニット化貨物でも安定した荷役作業が可能です。
適用例:高さのある商品や、積み付け時の安定性を重視する貨物に最適です。
若干厚みは増しますが、安全性と作業効率の向上により総合的なメリットが期待できます。
LeGパスボーダー
総厚み:65mm(専用設備不要)
特殊なローラーフォークがなくても、一般的なフォークリフトで荷役作業が可能です。耐荷重の調整も柔軟に対応できます。
適用例:設備投資を最小限に抑えたいお客様や、複数の拠点で汎用的に使用したい場合に適しています。
木製パレットと比較すれば、依然として大幅な薄型化効果が期待できます。
手荷役解消が必要になったら、まずはご相談ください