物流において、パレット輸送への切り替えは、SDGs項目番号5「ジェンダー平等を実現しよう」、
項目番号8「働きがいも 経済成長も」に貢献する活動と考える。しかしながら、パレットに起因する
課題もあるため、簡単に切り替えられないのも実情である。
シートパレットシステムは、定評もあり、資材も低廉なため、薄型パレットしては極めて有効性の高い
ものであるが、一方で、プッシュプルアタッチメントやリフトへの装着にかかる費用の問題やフォーク
リフトの専用化によって稼働が落ちるため、運用規模が大きい顧客ほど、導入が容易となる傾向にある。
中規模の顧客にとっても導入しやすい薄型パレットシステムがあれば、さらにパレット輸送への切り
替えが進むと期待できるが、開発時に考慮すべきはアタッチメントに関わる諸課題の解決であった。
そこで、当社が着目した機材がローラーフォークである。
同機材は、もともとシートパレットの床作業用に開発されたもので、フォーク内で上下2段に重ね合わされたローラーコンベアを組み
入れた構造に特徴がある。
油圧等の動力が不要なため、フォークリフトに装着するだけで作業
が始められ、プラスチック製平パレットも扱えるため、フォーク
リフトの稼働を落とすこともない。
しかしながら、床作業用の機材であるため、パレット作業で欠かせ
ない段崩し作業ができないという致命的な欠点を有している。
ローラーフォークでは段崩し作業ができないという欠点を、パレットの構造を考案することで当社は
解決した。
パレットとなる平板上構造体の周縁部に、ローラーフォークの先端部を挿し入れる空間をスロープ状
に形成(特許取得済み)することで、段崩しの様に床面等の支持面がない状態でも、フォーク上に
パレットを引き込むことが可能となった。
次の課題は、作業手順の整備にあった。シートパレットシステム同様、アタッチメントを使うため、
運転員に操作方法を覚えて頂かなければならない。
そこで、山川エンジニアリング(株)のご協力のもと、作業手順の策定を進めたが、同時にローラー
フォーク先端形状をパスボーダー作業に最適化することにも成功した。
ローラーフォークは、下面側のローラーを床面等の支持面に接触させながらフォークリフトを前後進
させると、その回転が上段側ローラーを駆動することでパレットを引き寄せ、逆に推し出す。
この支持面への接触を維持するため、フォーク基部はヒンジ構造となっているが、これら機構を有効
に機能させることが手順化のポイントであった。
パスボーダーの活用には、ローラーフォークが機能する状態の維持が大事である。現場の意見を聞き、
状況を見極めたうえで、的確なアドバイスや解決策を提供できるよう努めるのが導入支援の基本である。
例えば、荷台をきれいに磨き上げている運送会社を利用している場合、ローラーフォークが荷台に直接
触れることが嫌われたため、片面のみスベリ止め加工したプラスチックシートを下敷きとして開発し、
荷台との接触を断ちながらの作業を可能とした。
大型のゴム製品の輸送では、製品自体が柔らかすぎて支持面として機能しないため、テクセル等剛性の
ある中敷きを下段側貨物の天面に置くことで、ローラーフォークが機能できる状態を確保した。
バースにフォークリフト落下防止の輪留めがあるため、トラック端口でローラーフォークを十分に挿し
入れることが困難な状況では、2段階でパレットを引き込む手順を提案することもあった。
現場に教えを乞うとの謙虚な姿勢をもって、皆様の導入検討をお手伝いさせて頂きます。